高いプレイヤースキルが求められるチャンピオンを探している方に朗報。こんにちは、フェイのリードデザイナーのMyles “Riot Emizery” Salholmです。フェイのスキルについての考えやデザインに至るまでの開発エピソード、そして試合で使用するタ イミングの考察などについてお話ししたいと思います。また、フェイのスキルセットをいつでも確認しやすいように、便利な一覧表も作りましたのでぜひ活用してください。フェイの開発には、チーム全体が熱心に取り組んできました。パッチ13.24でリリース予定ですので、ぜひお楽しみ。それとフェイのアートワークもチェックしてくださいね!
敵チャンピオンにスキルで最初にダメージを与えると、最後の仕上げであるサインでマークを付与する。ダメージを与えるスキルを2回命中させると、対象の下にサインが浮かび上がる。サインは少ししてから爆破し、範囲内の敵すべてに魔法ダメージを与える。
フェイの固有スキルは、単にQQを繰り返し使うのではなく、異なるスキルを組み合わせることを推奨するもので、パレットをフル活用してダメージを最大化するのを補助するため のものです。三分割法のファンとしては、フェイには三連続のダメージを与える爆発力のある必殺技以外考えられませんでした。
厄災のビジョンを描き、敵に大ダメージを与える。
フェイの「厄災」スキルは、彼が人生で経験した破壊を投影するのもので、敵にダメージを与えてゴールドを獲得できます。燃え盛る炎から急な落雷や溶岩まで、敵の体力バーを削ることに関して抜け目のないフェイはパレットに多種多様な選択肢を用意しています。
このブログでは、「スキルの使い分け」という表現が度々登場します。これは、フェイのそれぞれのスキルには固有の目的があるという考えで、なぜ他の2つのQスキルではなく、このQスキルを今使用するべきなのかといった理由を学ぶことができます。3つのQスキルがすべてまったく同じだったら、難易度の高いチャンピオンとは言えませんよね。
フェイのQで、スキルの使い分けがどういったものなのかについてお話ししましょう。LoLでは、ダメージを与える方法が様々ありますが、フェイのQについてはスキルに3つの主要な形を持たせることにしました。ダメージは平均的だけれども安定してポークできるQQ、高ダメージだけれども長距離のポークは安定しないQW、そして最後に継続ダメージを与えるQEです。それぞれのスキルは、ダメージの一般的なテーマに沿うようにデザインされていますが、実現にあたっての形やスタイルは異なります。例えば、QQはレーン戦で素早くとどめを刺す技やポークするツールとして最適で、QWは体力の低下した対象により大きなダメージを与えますが、比較的遅いので回避もされやすいです。一方でQEは、効果範囲にいる敵に大ダメージを与えることができます。スキルの使い分けを念頭にフェイをデザインしたことで、初めはフェイを使おうとしているプレイヤーの皆さんとって困難な壁となるでしょう。ですが一度マスターすれば、サモナーズリフトで遭遇する様々な状況に対して複数の対処法があると感じられるようになります。
フェイのQのスキルの使い分けについてはここまでにして、スキルの詳細を個別に見ていきましょう。
燃える火球を描いて指定方向に飛ばす。敵に命中するか最大射程に達すると爆発し、範囲内のすべての敵に魔法ダメージと最大体力に応じた魔法ダメージを与える。
フェイの主要なスキルの1つである「荒廃の炎」は、ポークやとどめの一撃に理想的な素早い爆発による範囲攻撃です。スキル速度も速く、対象に関係なく最大体力の一定の割合のダメージを与えるため、あらゆるタイプの敵に対して使いやすい技となっています。
「荒廃の炎」は比較的シンプルに見えますが、実は「災厄」カテゴリーの中では最後に決定しました。フェイのスキルは数が多く、当初は対戦相手が理解できるようにするために、全体的にゆっくりとしたスキルにする必要があると考えていました。しかし、それが原因で素早くダメージを与えたりとどめを刺したりする手段に欠けてしまいました。そして、狙った敵のキルを取れないミッドレーナーは微妙な性能になってしまう可能性があります。そこで、一番よく使うボタンを連打するだけで必要なときにダメージを与えられるシンプルな技を用意したのです。
長距離の指定地点に稲妻を描く。少ししてから稲妻が落ち、魔法ダメージを与える。移動不能状態または孤立状態の敵には、減少体力に応じて与えるダメージが増加する。
「断ち切る稲妻」は比較的避けられやすいですが、敵にハラスをしたり、体力が低下した相手にとどめを刺したりするのには最適な長射程の範囲スキルです。このスキルは集団の敵や体力の高い対象にはあまり効果を発揮しません。しかし、移動不能状態の敵に追加ダメージを与えたり、孤立した体力の低い敵をキルしたりするスキルとしては優秀なのです。
開発初期からフェイのスキルセットには、カメラを動かして丹念にマップを確認するプレイヤーにとって恩恵が大きい長射程のスキルを1つ設けるつもりでした。ただし、こうしたスキルを考える上での難点は、長射程でクールダウンの短いスキルは乱用されやすく、対戦相手にとっては苛立たしいものとなりやすいことです。そのため、このスキルには長くて事前に把握しやすい予備動作をつけ、敵が注意していれば移動不能でもない限り回避可能なものにしました。
さらに、このスキルの乱発を防ぐためにいくつかの抑止策を設けました。具体的には以下のようなことです。長射程による安全性を過度に利用できないように最適な状況でダメージを制限。長距離でのファーム、キャンプスティールを防ぐためにジャングルやミニオンにダメージ補正を導入。マナコストを高くして、マナ生成のために「迸る光彩(WE)」を発動するにはより射程が短くリスクの高いスキルを使う必要がある。
通過地点に溶岩を残す、火山噴火の風景を描く。それぞれの噴火に当たった敵に魔法ダメージを与える。溶岩の中にいる敵には、スロウ効果と毎秒魔法ダメージを与える。
「沸き立つ大地」はウェーブを押し進めたり、敵の行動範囲を制限したり、止まっている対象を溶かしたりするのに最適な選択肢のスキルです。このスキルは一列に爆発を引き起こして溶岩を残し、バーストダメージと継続ダメージを与えるのに加えて、小さなスロウ効果も付与します。
実は、これがフェイの中で最初に決定したスキルでした。「派手で幻想的な絵の魔法」という彼のスキルセットの方向性はここから始まったのです。
「沸き立つ大地」の重要な特徴は、ウェーブクリア能力です。ところが、このスキルは開発段階ではポークとウェーブクリアの両方で最適なスキルになっており、Qのポークスキルと使い分けが難しくなっていました。そこで、意図的にスキルの爆発の速度を下げ、このスキルでは長射程のポークをやりにくくしました。つまり、このスキルはレーン戦で敵の体力を削るよりも、ミニオンや行動妨害効果を受けている敵への攻撃に適しているのです。
フェイが静謐のビジョンを描き、自身と味方チャンピオンにユーティリティを付与する。
「静謐」スキルは、落ち着いて戦いのペースをコントロールすることがテーマです。味方の移動速度を上げたり、味方を守ったり、自身の生存力を上げたりしてくれるこれらのスキルは、フェイと味方が戦場で自由に動き回れるようにサポートしてくれます。「静謐」のクールダウンをしっかりと管理することでマナの維持がしやすくなるだけでなく、離脱や追跡、突然のギャンクから生き延びるための手段としても役立つはずです。
移動速度、シールド、マナ維持など、フェイの「静謐」の魔法は効果が多岐にわたるためにスキルの使い分けも非常に幅が広く、トレードオフの考えが重要となります。例えば、フェイのWQで移動速度を上げれば、キルは取りやすくなるでしょう。ですが、そうすると自身にシールドを付与したり離脱したりするためには再度クールダウンの解消を待たなければなりません。WWで自身と付近の味方にシールドを付与することはできるけど、少し移動速度を上げた方がADCは助かるなんて場面もあるでしょう。マナが足りない?マナコストの高さは意図的に設けられたフェイの弱点であり、動き続けるためにはマナをうまく回復させる必要があります。その点では、マナを回復できるWEはうってつけですが、これを使用すると補助スキルである「静謐」の他のスキルがクールダウンに入り、ギャンクやオールインに対して脆弱になってしまいます。各スキルを使い分ける適切な状況を知ることがフェイを使いこなすカギとなりますので、賢明な判断を心がけましょう!
ご安心を。そのためにこうして説明しているのですから。それでは「静謐」の各スキルについて解説しましょう。
数秒間、速い水の流れを直線状に描き、自身と味方の移動速度を上昇させる。
サモナーリフトに水流を描くこのスキルは、フェイと味方に移動速度を上げる道を作ります。「流るる蒼」は「静謐」スキルの中では一番最初に確定したスキルです。フェイのスキルセットには多彩な補助性能を入れたいと考えていました。彼のWQは見かけによらずシンプルな移動速度バフで、一般的な補助スキルとして使用するにあたっては様々な選択肢があり、決断を迫られます。シールドやマナ回復を犠牲にしてでも攻撃的にプレイしたいか?いつでも離脱できるようにこのスキルを使わないでおくか?より速くレーンに復帰したいか?これはそれほど複雑な判断ではありませんが、趣旨は伝わったと思います。
指定位置に数秒間、味方を守る泉を作る。泉の中にいる味方チャンピオンは即座にシールドを得て、範囲内にいる間は数秒間シールド量が増加していく。
これはフェイが描く独特な絵で、タイミングと場所を見計らって使用すれば、高い恩恵をもたらしてくれる範囲シールドです。“川の流れ”をテーマにした「流るる蒼」に対し、「内省の泉」のテーマは“静”です。次第にシールド量が増すため、自身や味方が範囲内に留まる時間が長くなったときに役に立ちますが、同時に立ち位置の選択が重要となります。
「内省の泉」については試行錯誤を繰り返しました。時間経過で増加する範囲シールドはLoLでは珍しいので。当初、このスキルの発動時に付与されるシールド耐久値は0でしたが、フェイにバーストダメージを軽減する手段を与えるために、即座にシールド50%付与、さらに効果範囲内にいる限りシールド100%まで付与されるよう調整しました。
このスキルはウェーブを止める際、または一カ所に留まっている味方のタンクやキャリーを守る際、被ダメージを軽減するために利用できます。このような力があることで、フェイにエンチャンターとしてのポテンシャルが生まれることも意識しました。テスト中、エンチャンター役のフェイはかなり強力でした。そこで(フェイにとっては残念なことですが)、このスキルの“効き目”を抑えるために、複数の味方を守る効果を弱めることにしました。それでも、チームでオブジェクトを包囲攻撃をする状況では、「内省の泉」は最強クラスのスキルです。
自身の周りを数秒間周回する3つの渦巻く光を描く。自身が行う次の3回の通常攻撃またはスキルが命中すると、対象に追加魔法ダメージを与え、自身のマナを回復する。
強力なマナ回復スキル「迸る光彩」を発動すると、フェイの次の3回の攻撃またはスキルが命中したとき、対象に追加魔法ダメージを与え、自身のマナが回復します。3つすべてのチャージを消費することができれば、マナの値がスキル発動前よりも増えるので、しっかりチャージを使うようにしましょう。強化中、フェイが敵のチャンピオンに対して通常攻撃を行うと、ダメージトレードのパワーやキルコンボを増やす固有スキル「夢想家の銘」も発動します。
「迸る光彩」は繰り返しテストをする必要があったため、仕上げるのにかなりの時間がかかりました。幻影、亡霊、壁など、あらゆるものを試しましたが、レーン戦中にフェイが“安全すぎる”という根本的な問題は解決できず──最終的にはそれが、この“欲張りなスキル”の完成へと繋がったのです。
「迸る光彩」は、フェイの高いマナコストを維持し、敵を圧倒して、中盤に向けて火力を上げるために、ダメージとダメージトレードのパワーを増やします。しかし、それには代償が伴います。マナを増やす手段を導入したことで、“フェイ使い”が避けては通れない問題も生まれました。自身のマナプールを維持するには、敵レーナーに接近する必要があるのです。つまり、前に出なければマナが回復しないため、チーム戦で課題となっていた「厄災(Q)」スペルの乱れ撃ちを抑えることが期待できます。
また、「静謐(W)」の使用を控える理由にもなるため、対戦相手にとっては、シールドや移動速度ボーナスのないフェイと対峙できるチャンスが増えます。追加でタワーにダメージを入れたり、マナを得るためにフェイでプッシュしても、ギャンクの的になり、自陣のタワーまで退く前にジャングラーにやられてしまうというわけです。
苦悩のビジョンを描いて敵をコントロールする。
フェイの「苦悩」スキルは、恐怖で敵をあやつることがテーマです。その強力な行動妨害スキルの前では、敵は足を踏み出すことをためらうようになり、死の恐怖に襲われます。敵を逃亡させたり、拘束したり、一カ所に集めたり、恐ろしいほどの可能性を秘めるこれらのスキルには、敵だけでなく使う側のプレイヤーすらも“苦悩”することになるでしょう。
「苦悩」の各スキルはそれぞれ異なるタイプの行動妨害効果を持つため、使い分けは単純明快です。EQは自身から敵を引き離すのに便利ですが、孤立した敵を捕まえることはできません。一方で、EEは敵に少し近づくことになりますが、1体以上の敵を捕まえることに長けています。そして、EWは敵の移動を長めに封じることや敵を仕留めるのに有用ですが、予備動作が長い上に命中の安定性に欠けているため、命中しなかった場合はしばし手をこまねくことになるかもしれません。これらのスキルを使いわける上で重要なことは、1つのスキルを使用すると他の2つのスキルもクールダウンに入ってしまうため、状況にあった行動妨害効果を正しく取捨選択することです。
恐ろしい顔を描く。顔は最初に命中した敵を攻撃して魔法ダメージを与え、短時間逃亡させる。
フィアー効果を与える、分かりやすいスキルです。「苦悩」スキルの一つとして、奥の手としても使えるシンプルな直線範囲スキルを用意しました。ピンチのときに敵から逃れるのにうってつけです。ミッドレーナーのフェイは、ジャングラーやアサシンにダイブされるともあるため、このスキルは有用となるでしょう。ダイブに対して無敵になるわけではありませんが、敵は考えなしに攻めることはできなくなるはずです。
フェイを使うときのヒントとして、第2ボタンが「Q」になっているスキル(QQ、WQ、EQ)は直線的なスキルであることを覚えておきましょう。これはボタン入力とエイムをやりやすくするための工夫で、スキルを把握していない新規プレイヤーでも操作しやすい仕様になっています。同様に、第2ボタンが「W」のスキルは範囲効果スキルとなっています。第2ボタンが「E」のスキルに関しては、3種すべてにしっくり当てはまる枠組みがなかったため、例外です。
指定地点に深淵の眼を描く。眼は視界を確保し、視界範囲内の最も近い敵チャンピオンを凝視する。少ししてから、眼は凝視したチャンピオンに向かって飛び出し、最初に命中した敵に数秒間のスネア効果を付与し、魔法ダメージを与える。
「深淵の眼差し」には、3つの強みがあります。視界を得る力、敵の行動範囲を制限する力、そして、敵の移動を封じる力です。このスキルで与えるスネア効果は安定性に欠けるので、キルを狙う際は要注意です。
「深淵の眼差し」は、フェイのスキルの中で一番最後に仕上げたものです。フェイはすでに強力なメイジであったため、強すぎるスキルを与えてしまうと不公平になり、対戦しづらくなります。そこでたどり着いたのが、ひとくせあるトラップ式のスキルでした。発動すると、より安定したCCスキルを利用できなくなるため、誤って発動しないよう注意が必要です。
敵をミニオンウェーブから遠ざけるのにこのスキルが使用されるだろうということは、私たちも気づいています。これは相手からするとイライラする瞬間なので、できるだけ遠距離での発動を促すため、(距離に応じて効果時間が増加するなど)いくつかパラメーターを追加したほか、スキルの発射物が敵ユニットに命中した時点で停止するようにしました。このスキルを使用するときは、タイミングをしっかりと考え、効果を最大限に活かせるよう、最大射程で発動するようにしましょう。
粉砕の牙を描き、命中した敵に魔法ダメージを与え、中央に引き寄せる。また、急速に減衰する一定量のスロウ効果も与える。
皆さんの予想通り、「粉砕の牙」は対戦相手を粉々にする牙を召喚し、敵をまとめて押しつぶして強力な範囲ダメージを与えます。
Riot EndlessPillowsは、“スキルをミックスするメイジ”という昔のアイデアを模索していた際、蝶ネクタイ形の興味深いトラップを作りました。このトラップは、スキルの扇状部分で敵を攻撃することが可能で、非常に独特かつ斬新だったため、チームは何とかしてこれを実現する方法を探りました。
元々の形が抱えていた問題の一つは、その展開方法でした。これは指定地点に設置すると、即座にユニットを爆発させる、または後から発動するトラップとして機能したのですが、このユニークな形はすでに複雑なスキルセットに組み込むことを考えると、どちらの場合も明瞭性に欠けていました。
その後、「厄災」、「静謐」、「苦悩」のユニークなスキルモデルに切り替えた際、何か恐ろしいものを作りたいと考えました。そこで思い出したのが「蝶ネクタイによる引き寄せ」のアイデアでした。初期のビジュアルにはモルデカイザーの4本爪を使用したのですが、控えめに言ってもかなり恐ろしく見えました。そこで、このスキルに磨きをかけていき、現在の形に落ち着きました。
おもしろいことにこのスキルは、フェイの固有スキルをどうすべきか決める上でも役立ちました。多数の敵を一度に引き寄せられれば、素晴らしいウォンボコンボの瞬間が生まれるからです。そこで、このスキルと別の範囲スキルを織り交ぜることで、敵チャンピオンに壊滅的なダメージを与えられるようにし、ウォンボコンボの瞬間をより盛り上げることにしました。これなら、敵の体力を削ったり、孤立した敵をキャッチしたりするのに使用するであろうスキルで、複数のキルを確保することができます。
純粋なる絶望のビジョンを放つ。このビジョンは数秒間、敵チャンピオンに張り付く。ビジョンは拡大していき、命中したすべての敵を圧倒して、毎秒魔法ダメージを与える。範囲内の敵には、時間経過で「絶望」のスタックを付与する。「絶望」はスタックごとに、一定割合のスロウ効果を蓄積させる。ビジョンは終了時に砕けて、魔法ダメージを与える。
最後にご紹介するのは、フェイの最高傑作「絶望の渦」です。このスキルは継続ダメージとスロウ効果を与える大規模なスキルであり、最終的には爆発して、もう一つの絶望の根源──つまり灰色の画面へと敵チャンピオンを送り出します。
フェイのスキルモデルが「厄災」、「静謐」、「苦悩」に決定するまで、このスキルはアイデアにありませんでした。一つ考えていたのは、「フェイが落ち込み、感情的になり、他の人にも“その人にふさわしい感情”を味わわせたいと願う」ということです。しかし、フェイ自身は絶望の感情から抜け出せていません。それを考えると、フェイが感じている忍び寄る絶望を敵にも感じさせる手段として、アルティメットスキルはまさに最適でした。
このスキルは、徐々に(そして気味悪く)拡大していく範囲効果を持つ非スキルショット版など、いくつものバージョンで実験が行われました。また、釘付け効果を持つバージョンもありました。そのことを未だに根に持っている同僚もいるようです…それはともかく、何度もこのスキルを見直し、改良を重ねたことで、フェイが苦しんでいる絶望を芸術的に表現したバージョンが完成したと思っています。皆さんにリフトで実際にご覧いただくのが楽しみで仕方ありません!
ふうっ!まさに大量のスキルでしたね。実際にフェイをプレイしていただいた際、各スキルに用意された独自の用途を感じてもらえたら何よりです。また、このスキルセットについて隅々まで学び、楽しみながら最良の活用方法を見つけ出していってもらえることを願っています。しかし、ここで終わりではありません。フェイメインでプレイしていきたいという皆さんのために、入門用のヒントをご紹介したいと思います。
レーン戦フェーズ
魔法で絵を描くには、多大な集中力が必要です。そして、スキルを発動し続けるには、言うまでもなくマナが必要です。「ドラン リング」や「女神の涙」といった、マナの持続力を保つアイテムを持ってレーン戦を開始しましょう。最初のリコールで「ロスト チャプター」を購入し、マナプールを増加できれば、試合序盤のプレイとしては成功と言えるでしょう。
マナプールを最大限に活用するには、ギャンクやダメージを受けることがないよう注意しつつ、「迸る光彩(WE)」をできるだけ頻繁に使用します。このスキルの追加ダメージは範囲効果スキルに適用されるので、QE + WEのコンボを活用してウェーブクリアをすれば、タワー下に押し込まれないで済みます。また、このコンボでウェーブをプッシュすれば、リコールやロームする猶予を作り出せます。タワーに敵がおらず、敵ジャングラーの位置も分かっている場合は、WEでタワーを攻撃し、タワープレートからのおいしいゴールドを手にすることもできます。
「沸き立つ大地(QE)」はウェーブクリアに最適なスキルですが、ミニオンのラストヒットを逃してしまう場合もあるので、タイミングには気をつけましょう。残り体力が少ないミニオンを確実にラストヒットしたければ、通常攻撃に追加ダメージを付与できるWEが最適です。また、「荒廃の炎(QQ)」は砲台ミニオンやミニオンの集団を確実に倒すのに十分な火力を備えています。超高速でウェーブクリアしたいときは、WE > QE >EEのコンボを活用すれば、大量の範囲ダメージを与え、ウェーブをまとめて押し潰すことができます。ただ、EEでの一括クリアを狙おうとウェーブの側面に位置取りしてしまうと、敵にキルを取らせる隙が生まれてしまうので注意しましょう。
敵が撤退しようとしている場合は、「断ち切る稲妻(QW)」でハラスをしかけ、リコールを遅らせましょう。QWはフェイの残り体力が少ないときや、レーンに戻ろうとしているときに、砲台ミニオンをラストヒットするのにも役立ちます。また、少しの視界があれば、敵ジャングラーからモンスターを不意にスティールすることも可能です。レーンに戻る際には、「流るる蒼(WQ)」で移動速度を増加させましょう。WQを活用すれば、アルティメットを狙って他のレーンにロームしたり、プレッシャーを受けている敵を強力なQWで狙撃したりといったプレイも可能です。自信があるなら、WQで敵に突っ込んでいき、距離を詰めながら「深淵の眼差し(EW)」を敵のいる場所に配置して、QQコンボまたはQWコンボで追い打ちをかけましょう。
チャンピオンレベル6になったら、「苦悩」スキルを使って敵をキャッチするチャンスを狙っていきましょう。捕らえた敵に「絶望の渦(R)」で追い打ちをかけて確実にキルすれば、試合中盤を爽快にスタートできます。
全般的な短所
フェイは確かに多くのスキルを持っていますが、すべてのスキルを同時に使えるわけではないので、そういう意味では限りがあります。いずれかの「苦悩」スキルを使用すれば、コントロールスキルはしばらくの間使えません。この隙は試合序盤だと特に大きく、敵からすれば絶好のギャンクチャンスです。また、マナの維持とダメージのために「迸る光彩(WE)」を多用していると、ギャンクを生き延びるのに有用なシールドや移動速度バフを使えなくなってしまいます。周囲に光を浮かべながら、コントロールスキルを発動するフェイ…敵の目には格好の餌食に映るでしょう。
フェイには非常に打たれ弱いという短所もあります。巧みな位置取りと賢いスキル回しで敵を退けることは可能ですが、その生存力の低さを考えると、一度捕まればほぼ一瞬で消されてしまいます。フェイを相手にするなら、隙をついてギャンクしたり、複数人で攻撃をしかけたりするプレイが非常に効果的です。また集団戦においては、アサシンがフェイを狙い撃ちすれば、瞬間火力で倒し切れるでしょう。
そして、フェイはマナプールが非常に限られているため、リコールを頻繁に行うか、魔力アイテムの代わりにマナアイテムを積まなくてはならないという欠点があります。「迸る光彩(WE)」を活用せずにスキルを頻繁に発動していると、すぐにマナが尽きてしまい、敵の攻勢に対処できなかったり、味方のバックアップができなかったりといった状況に陥ってしまいます。フェイを相手にする場合は、残りマナが少ないタイミングで攻撃をしかけ、スキルを連発できない状況を活用しましょう。
集団戦
フェイが持つ最大の強みの一つは、集団戦への貢献力です。フェイの固有スキル「夢想家の銘」は、複数のチャンピオンが集まっている状況で大きな力を発揮します。複数の敵にマークを付与し、「粉砕の牙(EE)」を当てて1か所に集めれば、マークの爆発ダメージを重ねて与えることができます。また、理想的なフェイのプレイといえば、アルティメットスキル「絶望の渦(R)」にたくさんの敵を巻き込むことでしょう。最低でも敵チームを分断することができ、うまくいけばマルチキルを獲得できます。
ただ、複数のチャンピオンがかたまっている状況に遭遇したからといって、簡単にキルを取れるわけではありません。フェイは敵との距離を取って、チームを補助するスキルやゾーニング効果のあるスキルで、戦場をコントロールする必要があります。「沸き立つ大地(QE)」を最適な位置に発動すれば、敵の前衛を孤立させたり、崩したりすることが可能です。また、「深淵の眼差し(EW)」を狭所に置けば、安定して敵にスネア効果を与えられるので、キルにもディスエンゲージにも活用できます。敵の後衛の体力が少ない場合は、「断ち切る稲妻(QW)」で狙撃し、集団戦を5v4に持ち込みましょう。敵の後衛に隙がなく、前衛が強気に出てきているようなら、「荒廃の炎(QQ)」で体力を削り、後退させましょう。
ゾーニングと敵へのダメージと同じくらい重要なのが、味方のサポートです。敵の追跡中、そして敵からの逃亡中は、「流るる蒼(WQ)」を活用して、敵や味方チームの位置取りを整えましょう。味方チームが攻撃されている、あるいは近接戦闘を行っている場合は、「内省の泉(WW)」でダメージを緩和し、戦闘を生き延びられるようサポートしましょう。ダメージ量を高めたいときや、マナが必要なときは、「迸る光彩(WE)」を活用しましょう。「もう少し火力があれば倒し切れるのに…」という状況で、このスキルは良い後押しになってくれます。
試合終盤
フェイは、ベイガーやオレリオン・ソルのように無限にスケーリングできるわけではありませんが、経験値とゴールドを獲得することで、破壊力のある集団戦に強いメイジへとスケーリングしていきます。チームから離れて活動していると、キャッチやギャンクの対象になったり、天敵であるアサシンに狙われたりするので注意しましょう。できるだけ味方と一緒に行動し、チームで戦略的オブジェクトの獲得を狙えば、フェイの強みを十分に活かせるはずです。
長引いた戦闘やオブジェクトを巡る戦闘において、戦場を面で制圧できるフェイのスキルは非常に有用であり、試合を畳むのに大いに役立つでしょう。ただし、敵による後衛を狙った攻撃には弱く、フェイ自身が前に出ていくと前衛のCCに捕まり、すぐにデスしてしまいます。フェイが生き延びるカギは敵との距離を保つことですが、あまりにも後ろに下がってしまうと、味方のサポートができないばかりか、自分が孤立することになります。
マッチアップ
フェイには様々なスキルがありますが、移動速度や物理防御などの基本ステータスは低いため、敵のジャングラーやミッドレーナーが好戦的な場合、試合序盤はキルされやすいでしょう。機動性が高く、エンゲージ範囲の広いアサシンや物理系チャンピオンをフェイで相手取るのは困難です。ヤスオやフィズ、トリスターナといったチャンピオンであれば、フェイが強くなり始める試合中盤前にその芽を摘むことができるでしょう。
また、フェイは体力が低く、ポークのツールも不安定でリスキーなため、強力なポークチャンピオンは基本的に不得意です。ヴェル=コズやゼラスといったライバルのアーティラリーメイジにはあまり対抗することができず、多く(もしくはすべて)の体力を削られ、通常よりも早くリコールするはめになるでしょう。加えて、ビクターやオリアナといった、より安定したポーク性能を持つコントロールメイジを相手にするのも困難です。
一方で、強力な集団戦能力とコントロールスキルを持つフェイは、スケーリング系チャンピオンを相手取るのが得意です。ある程度ゴールドと経験値を獲得すると、試合中盤において敵のチームを壊滅させ、オブジェクトの獲得に力を発揮してくれます。また、直接的なエンゲージを行うミッドレーンチャンピオンも、フェイにとっては戦いやすい相手です。リサンドラやナフィーリのようなチャンピオンを使って、フェイを相手に試合序盤からリードを築き、スノーボールするのは難しいでしょう。
えっ、ここまで全部読んだのですか?フェイのスキルについて隅々まで?もしそうなら、きっとフェイを気に入ってくれたと思います!
フェイは様々なスキルを持っているとはいえ、どんな状況でも戦場を支配できるというわけではありません。しかし、どのようなマッチアップであれ、クリエイティブな問題解決能力があれば、大半の状況は切り抜けることができるでしょう。フェイは決して簡単なチャンピオンではありませんが、時間をかけてマスターすれば、その努力は報われ、創造力とプレイスキルを発揮できる、エキサイティングなチャンピオンとなるでしょう。根気強く練習し、様々なスキルの組み合わせを試してみてください。それでは、サモナーズリフトでお会いしましょう!