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/dev:2024 アイテムの変更点

シーズン2024に向けたアイテム変更の舞台裏をご紹介。

Dev作者Riot Endstep, Riot Rose7ea
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こんにちは、Nick “Riot Endstep” Frijiaです。ここではアイテムについてお話しします。より正確に言うと、まずは私がアイテムの強さの予算と魔力系アイテムについてご説明し、次にHaiyin “Riot Rose7ea” Yangがサポートアイテムについてお伝えします。

アイテムの強さの予算

ミシックアイテムについては以前のdev記事で詳しく取り上げたので、ここでは手短に説明します。LoLにミシックアイテムが導入されて以降、アイテムがパワー予算のうち想定よりも大きな部分を占め、チャンピオンのスキルを極端なまでに上回ってしまうことに不満を持っていました。そして現在、LoLの核心となるゲームプレイが、チャンピオンのファンタジーの再現を中心に展開されるよう、元に戻そうと模索しています。これは重要なポイントです。なぜなら、チャンピオンの方がアイテムよりも、より豊かで魅力的かつ没入感のある形で、ゲームプレイのファンタジーや体験を提供できるからです。LoLは、アイテムから得られるシステム上の要素よりも、特定のキャラクターやゲームプレイのファンタジーにこだわりたいプレイヤーをサポートする必要があると思います。チャンピオンのファンタジーは、テーマ、プレイスタイル、使用感の違いがアイテムのそれよりも大きいため、もっと豊かで魅力的な体験を提供できるのです。LoLには多種多様なチャンピオンのファンタジーがあり、すべてのチャンピオンが万人向けというわけではありません。なので、今いるチャンピオンのファンタジーを、その体験をしてみたいと思う人皆に向けてサポートするのが重要なことだと言えます。

Iceborn_Gauntlet.png

全体的には、ミシックシステムが導入される前の強さに比較的近い水準を目標として、アイテムを弱体化しています。これまで、システムによる非チャンピオンのパワーを、12.10の耐久力アップデートや13.20のルーンのナーフによって制限してきました。ですが今回対応しようとしているのは、過度なスノーボールの主な原因となるアイテムです。アイテムはゴールドをパワーに変換する主な方法であり、これまで幾度となく強化されてきたことで、過去のバージョンのゴールドの価値を上回るパフォーマンスを発揮するものとなってしまいました。同時に、タワープレートや「貪欲な賞金首狩り」などを導入したことで、ゴールドを稼ぐのが容易になっていました。様々なオブジェクトやメカニクスの価格をシステム面で調整するのは良いのですが、現在のゴールドの価値は高くなりすぎており、主にキルゴールドとタワーゴールドによるゴールドの差が過剰なスノーボールにつながっているのだと考えています。

この方針に関して、皆さんから不安の声が上がることはもちろん理解しています。強力なアイテムは購入したくなりますし、ミシックシステムの魅力の1つは、パワーが単一のアイテムに集約されることでより満足度が高くなることですから。なので、今回の変更では複数の異なる効果を同時に発動する幅広いアイテムにするのではなく、パワーをシンプルで満足のいく効果に統一しようと考えています。例えば、「ライアンドリー」を高頻度で発動できるキャスターアイテムに戻し、使用者が長時間にわたってターゲットにダメージを与えるときに最も効果的であることをわかりやすくします。これは短時間に火力を集中するゲームプレイパターンと相乗効果を発揮する設計の、新アイテム「ストームサージ」とは対照的です。

Liandry_s.png

魔力系アイテム

「ライアンドリー」と「ストームサージ」と言えば、魔力系アイテムとメイジ用アイテムは特に、かねてより皆さんから要望があり、私たちも有意義な改善をしたいと考えていたポイントでした。全体的に、メイジ用アイテムはあまり満足いくものではなく、最近では魔力システムのおもしろさが全般的に他のアイテムシステムよりも低下しています。そのため私たちは、特にメイジにとって、魔力系システムを改善するのに重要と思われる2つの要素を特定しました。「固定スロット」と、「パターン重視」です。本アップデートは特にメイジを対象としたもので、魔力系アサシンにもある程度の影響はありますが、魔力系ファイターを対象としたものではないことにご注意ください。

Deathcap.png

固定スロット

「Endstep、何の話をしているんだ?固定スロットとは何だ?」とお考えでしょう。「固定スロット」とは、クラスに縛られたビルド内のスロット──例えば、特定のアイテムを(または特定のアイテムセットから)購入しないといけないようなスロットのことです。過去には、軽量級ファイター用の「トリニティ フォース」、マークスマン用の「インフィニティ エッジ」のようなものがあります。この問題を解決するのに、以前から全般的な対処をいくつか行ってきた過去があります。競争力がある代替アイテムを追加することでスロットが固定されていても他の選択肢から選べたり、対象クラスによる特定のアイテムへの依存を低減することで「固定」という要素を取り除いたりしました。今回は魔力系チャンピオンを詳しく調査し、LoLのリリース以来「ラバドン デスキャップ」と「ヴォイド スタッフ」が固定スロットのアイテムであることを突き止めました。その上、メイジにはマナアイテム用にさらなる固定スロットもありました。

ミシックシステムによってマナアイテム間での競争が増し、どのメイジも最初のアイテムを同じにする必要がなくなり、メイジの状況がある程度改善されました。この構造は、新しい非ミシックシステムでも維持しつつ、マナアイテムの選択肢を意図的に変更して、アウトプット重視ではなくパターン重視にしました(これらの用語については後ほどご説明します)。同じ戦略は「ヴォイド スタッフ」でも試したいと考えていて、メイジや他の魔力系チャンピオン向けの一定割合防御貫通の代替アイテムとして、「クリプトブルーム」を導入します。

次の疑問はプロジェクト中に自分たちでも気になった、「ラバドン デスキャップはどうするか?」ということです。複数の代替アイテムを作ってみましたが、楽しくて強力なアイテムを作ったところで、単純さと魔力増加倍率への魅力から、プレイヤーは「ラバドン デスキャップ」を購入することを好むということがすぐにわかりました。なので、理論的には本当に素晴らしい代替アイテムがあるかもしれないのですが、今のところは「ヴォイド スタッフ」の有効な代替アイテムを作ることに集中し、スロット固定という代償があるにしても、「ラバドン デスキャップ」はわかりやすく、大人気で象徴的かつ理想的な魔力系アイテムのままにしておきます。

パターン重視

この項目を始める前に、パターン重視とアウトプット重視の違いについて簡単にお話しします。これらの用語は、アイテムシステム内での説明に使用します。パターン重視のアイテムは、チャンピオンが試合内で目標を達成する方法を強化することを意味します。一方でアウトプット重視のアイテムは、目標を直接的にサポートします。「エバーフロスト」のような多くのミシックアイテムは、チャンピオンのスキルの意図したゲームプレイを置き換えたりひっくり返したりしてしまい(例えば、アーリが「エバーフロスト」を使うと確定で「チャーム」が命中する)、意図したチャンピオンのパターンを簡略化するアウトプット重視のアイテムとなっていました。

LoL内の各アイテムシステムは特定のユーザーグループを対象としたもので、そのユーザーの数が多いほど、システムのアウトプットも広いものになる必要があります。システムを広いものにするには2通りの方法があります。ユーザーの特定のニーズを満たすような特化型のアイテムをたくさん作ること(アイテムを特定のチャンピオンのパターンに結びつける)、または、ユーザーのほぼすべて、ないし全員を対象とできるような、十分に汎用的なアイテムをいくつか作ることです。LoLの魔力システムは全チャンピオンの中でもかなりの割合を対象としていますが、これまで、全体的に後者のオプションを取っていました。これによりアイテムの汎用性が高くなり、ユーザーの特定のセクションに対応する新たな特化型アイテムを追加するのではなく、魔力システムの対象なら誰でも汎用アイテムを購入させてしまっていました。ですが、これからは魔力システムを汎用アイテムよりもよりパターン重視のアイテムが登場する後者のオプションに据えるべきです。そうすることで、特定のチャンピオンに特に相乗効果があるようなアイテムをシステムに追加し、魔力系ビルドにさらなる多様性が生まれることが期待できます。

この良い例が「シャドウフレイム」です。元のバージョンは体力増加を含めて汎用的なステータスで、固定の防御貫通があり、魔力システムでダメージ中心のチャンピオンほぼ全員に機能しました。新バージョンでは、効果を発揮できるチャンピオンはまだ幅広いですが、少々リスクが増します。体力が増加しなくなることで、体力が多い状態でのポークが大幅に弱体化し、さらに継続ダメージとペット効果に固有のボーナスがあり、特定のパターンでの数種類の使用法に紐づけられています。これにより、様々なチャンピオンで、各チャンピオンのパターンとこのアイテムとの相乗効果を満足できるでしょう(追加/リワークした他のアイテムの一部についても同様です)。

Shadowflame.png

全体としての魔力システムの目標は、魔力系チャンピオン、特にメイジで、魔力システム内における本当に有用な選択肢を増やし、魔力系チャンピオンで特に真価を発揮すると感じられるアイテムを増やすことで、アイテムによる強化にもっと意味を持たせるようにすることです。魔法の帽子や杖の話はここまで。それではRose7eaにバトンタッチして、サポートアイテムについて話してもらいましょう!

こんにちは、Haiyin “Rose7ea” Yangです!Endstepがお伝えした通り、ここからはサポートアイテムについてご説明します。

問題と目標

サポートはどのチームにとっても不可欠な役割です。レオナによるエンゲージのセットアップがなかったり、ヴェインを狙う際にルルが守ってくれなかったりしたら困りますよね。サポートは高スキル帯では強力ですが、平均的なプレイヤーの中では使用頻度が落ち、あまり魅力的に思われないことがあります。なので今回の変更では、役割のアイデンティティを破壊することなく満足感を向上し、クラス固有の強みを作り出すことに集中しました。そのために、他の役割に取られるアイテムを作らずに、特に試合の序盤から中盤にかけて全サポートチャンピオンに強みをもたらせる、サポートクエストアイテムに着目しました。

サポート専用アップグレード

この目標を達成するために、サポートクエスト完了後に5つのアップグレード選択肢を設けました。これはサポートのプレイヤーがプレイスタイルを表現し、レーン戦フェーズの終盤に向かって(初回のレジェンダリーアイテム購入と共に)強化するのに役立つものです。アップグレード間の唯一の違いは、重複不可の自動効果です。例えば、「至点のソリ」には味方と一緒に“乗る”ことができ、隣り合って戦いつつバフを与えることができます。複数のクラスで使用でき、戦闘開始および離脱の両方の状況で使える汎用性の高さは、特に気に入っているポイントです。もう1つのアイテム「ドリーム メーカー」は、気まぐれなバンドルシティの雰囲気に着想を得たもので、素敵な夢の泡沫を味方に送って恩恵を授けます。ゲームアナリシスチームおよびデザイナーと緊密に協力し、各アップグレードを徹底的にテストして、どのサポートチャンピオンもシステムから取り残されないようにしました。テストの中では、チャンピオンには試合のほとんどをカバーするようなアップグレードオプションが通常1つか2つあること、さらに状況に応じて使えるオプションも1つあることを確認しました。付与ステータスは意図的にそのままにして柔軟性を最大化することで、試合の状況やプレイスタイルのニーズに応じてアップグレードを選択するだけでいいようにしてあります。とはいえ、システムが複雑になるのを避けるために、アップグレードは伝統的なクラスのアイデンティティや一般的なサポートのゲームプレイスタイルに基づいて設計されていて、「ブラッドソング」はより幅広いチャンピオンにも使えるポテンシャルがあります。

クエスト

「専用クエスト」となるテーマをいくつか検討した結果、開発チームがおもしろそうだと感じたのは、ルーンテラのマップを探索し、最終的に特定の地域に結びついた固有の宝物を手に入れるというアイディアです。この方法ならプレイヤーはクエストを進めるうちに、その試合での選択肢も注意深く気づけるからです。

また、クエストアイテムを見る際のプレイヤーの悩みにも対応したいと考えました。例えば、いくつかの理由により、クエスト完了時間には大きなばらつきがあります。またはゴールドクエストを完了した際に、そこまでやりがいを感じられないことがあります。20分経過時点、すでにキャリーがウェーブをかなりクリアできるタイミングで、ミニオンにとどめを刺さなくてはいけないのがイライラすることもわかっています。これらは、今回の改修で対処したかった問題の一部に過ぎません。

アップグレードモデルに関する混乱を避けるため、今回のアップデートでは勝利条件にサポートがゴールドを獲得する方法を一元化できることを挙げました。現在、初期アイテムには魔力系と物理系チャンピオン用、近接と遠隔チャンピオン用といった対立的なアイテムがあるため、これは困難なことでした。ですが、選択肢に違いがあるとしても、チャンピオンを決めてしまえば、どのアイテムを選ぶかにさして違いはないことが判明しました。そこで、クエストを統合する方向性に決め、この決定の複雑な予算や制約の中で、チャレンジのバランス調整を始めました。遠隔チャンピオンが元々持つアドバンテージに近接チャンピオンが追いつけるよう、CCや大量の砲撃ミニオンのゴールドを使ったり、様々なダメージタイプに対応できるようアダプティブフォースを使ったり、サポートプレイヤーが好きな基本アイテムを選べるよう初期アイテムの価格を減らしたりなど、様々な解決法を実験してみました。ですがいずれも、使用者と被使用者のサイドから共通認識の構築と学習コストといった点でプレイヤー体験、バランス調整、複雑さに関する複数の問題がありました。最終決定したものには慣れが必要ですが、ポークとトレード&プッシュを切り替えることで適切な奥深さが生まれるはずです。さらに重要なことに、サポートはアップグレードを選ぶことでより一貫性のある強化をできるようになったのです。

ぜひアップグレードの探索を楽しんでください。サポートメインの皆さんも、初めてサポートに挑戦しようとする皆さんも、統合したクエストを気に入ってもらえると嬉しいです!また、全クラスに向けて行った全般的なアイテムシステムのアップデートもお楽しみください。皆さんのご意見やご感想をお待ちしています。それでは、サモナーズリフトでお会いしましょう!



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