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/dev: 2023年のLoLビジネスモデル

LoLのビジネスモデルがどのように進化してきたかをご紹介します。

Dev作者just a capybara
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前回、私たちがLoLのビジネスモデルに関する記事(英語記事)を公開したのは2017年のことです。ここ数年、私たちの決断が根本的なアプローチに沿っていないことがあり、上記のブログで共有したモデルがもはや念頭にない、というフィードバックが増えてきました。こうしたフィードバックに応えるべく、今回は私たちのビジネスモデルがLoLやコミュニティーと共に、どのような進化を遂げてきたかお伝えしたいと思います。

要約:

  • 最高のゲームを作ることが最重要事項である
  • LoLでの勝利に必要なのは、課金ではなく優れたプレイである
  • プレイヤーが満足できる有料コンテンツを提供する
  • 各プレイヤーの需要を反映したコンテンツを用意する

これらが私たちにとって何を意味するのか、さっそく見ていきましょう。


最高のゲームを作ることが最重要事項である

私たちは今後数十年にわたって、「リーグ・オブ・レジェンド」が世界最高峰のゲームであり続けられるよう尽力しています。これは“PC向け対戦ゲームの最高峰”という枠組みに収まりません。LoLは業界を牽引するeスポーツの1つであり、音楽であり、シネマティックであり、発展を続ける奥深いIPであり、コスプレやTV番組など、あらゆる形で情熱を注いでいる素晴らしいファンたちのコミュニティーでもあるのです。私たちは皆さんの献身があるからこそ、このような素晴らしい体験を生み出すことができています。

LoLでの勝利に必要なのは、課金ではなく優れたプレイである

リーグ・オブ・レジェンドの中核にあるのは、競技性と熟練度です。形態を問わず、購入可能なパワー(チャンピオンなど)は、時間さえかければプレイするだけで無料で解除できるようになっています。つまり、ゲームにお金をかけなくても、世界最高のプレイヤーになれるのです。

前回の記事で、ルーンやチャンピオンはPay to Win(課金有利)ではないとお伝えしました。というのも、すべて揃っていなかったとしても、対等な試合をするのに十分な数のルーン/チャンピオンを容易に解除することができたからです。それ以降、私たちは古いルーンを削除すると共に、大半のチャンピオンを値下げし、無料で解除できる方法を追加することで、より簡単にチャンピオンを解除できるようにしました。勝敗は“どのチャンピオンを持っているか”ではなく、“そのチャンピオンをどのようにプレイするか”によって決まるべきです。

また私たちは、有料のカスタマイズアイテムで優位を得ることに、反対の立場を取り続けています。Qの射程を伸ばすティーモのスキンや、Rのダメージを増加させるラックスのスキンが登場することは、今後も決してありません。その一方で、過去にリリースした一部スキンにおいては、ゲームプレイの明瞭性という点で的はずれなことをしてしまいました。2024年は、そういった問題を時間をかけて解決していく予定です。一つ例を挙げると、リー・シンのASUを利用して、「豪嵐龍」スキンに関連した問題の解決に取り組んでいます。

一切お金をかけずにリーグ・オブ・レジェンドをプレイする、という人は少なくないでしょう。ですが、“勝敗に関わるパワーを販売しない基本プレイ無料のゲーム”としては、これこそが正しい姿だと信じています。私たちは、お金をかけないとLoLを楽しめなくなるようなビジネスを行うつもりはありません。

プレイヤーが満足できる有料コンテンツを提供する

私たちは、“無くても問題ないが、(願わくは)プレイヤーが購入せずにはいられない、とてもクールな任意の追加要素”を提供することで利益を出しています。LoLで何かを購入したのなら、数カ月後に振り返ったときでも、お金と引き換えに手に入れたものに満足できるべきです。

もちろん、プレイヤーがコンテンツの価格に必ず満足できるというわけではありませんし、“お手頃価格”の基準が人によってまったく異なることも認識しています。人によっては、1350 RPのスキンを購入することで、友達と遊びに行く約束を断らないといけないかもしれません。これは難しい決断です。コンテンツの入手をセットや有料マイルストーン、ミッション報酬、入手期限などと結びつけることが、極めて高価にするのと同じくらい望ましくないということも理解しています。ただ、ゲームをロードした際に、その価値はしっかりと感じられるようにしています。

戦利品に関しても、この原則を念頭に置いてデザインしています。購入したチェスト、オーブ、カプセルそれぞれから価値あるものを得られるようにしており、報酬トラックを最大にすれば、それまでに費やした金額よりも、一連の購入から得られる総価値の方が必ず高くなるようになっています。運がよければ、ミシックエッセンスやアルティメットスキンを引き当てることも可能ですし、“最悪”の引きであったとしても、投資に見合った価値があるコンテンツを得られるはずです。報酬コースのように直接的な価格がないものに関しては、必要となる可能性のある最大支出額を必ず確認できるようになっています。

また、LoLでお金を使いたいと思ってくださる方々を守れるよう、今後もセーフガードを設けていくつもりです。私たちは“うっかり購入”には強く反対しており、皆さんをだまして不本意な購入をさせてしまうようなことはしたくありません。不健全なレベルでの支出が行われないよう、そしてアカウントを乗っ取られたプレイヤーを保護できるよう、1日に購入できる戦利品の数には上限を設けています。そして購入したものの使用していないアイテムについては、払い戻しを受け付けています。プレイヤーが必要としていないアイテムを売ることはしたくないと思っています。この方針から外れた購入についても、回数限定で払い戻しを受け付けています。プレイヤーの皆さんには“価値あるものを購入した”と感じてもらいたいからです。

各プレイヤーの需要を反映したコンテンツを用意する

LoLにおいて何を重視しているかは、プレイヤーによって異なります。そして、時間やお金を使う部分もそれに応じて異なります。ですので、LoLにおいてプレイヤーが重視している部分それぞれに、意味あるものを作りたいと私たちは考えています。

皆さんの多くがそうだと思いますが、ゲームとの関係は時間とともに変化してきたはずです。10代の頃、お小遣いでスキンを買い始めた人が、今では仕事や家庭のある大人となり、10年以上プレイしているゲームとの関係性が、環境の変化に伴い変わっていたとしても不思議ではありません。私たちは、皆さんがLoLに求めるものが時間と共に変化したとしても、LoLをやりがいのあるゲームだと感じてもらいたいと考えています。

ランクのスキン褒賞は、ランク戦で条件を達成したプレイヤーだけに配られます。そのチャンピオンをメインにしていても、ランクプレイヤーでないと入手できないように、LoLのその他の部分においても、やり込みに応じた独自の報酬を用意していきたいと考えています。

深掘り:特定の動機をサポートする

これは私たちのビジネスモデルにおいて新たな試みとなるので、“プレイヤーの投資に十分応えられていると思う部分”、そして“改善の余地がある部分”に分けて解説したいと思います。

ゲームのプレイ

私たちはLoLを長い期間、継続的にプレイしている方たちに報いたいと考えています。以前はIP、ルーン、チャンピオンを提供していましたが、現在はブルーエッセンス、オレンジエッセンス、スキンのかけら、エモート、アイコン、ミシックエッセンスを提供しています。また、ただゲームをプレイしたいだけの人たちに向けて、様々なシステム(サモナーレベル、イベントメタゲーム、イベントミッションなど)をデザインし、そうしたプレイヤーの時間的投資に応えられるようにしており、イベント期間中にもっと時間を有効活用したいプレイヤー向けに、イベントパスも用意しています。通貨やシステムは、いずれ変更されるかもしれませんが、費やした時間には変わらず満足できるべきです。

競技性

ランク戦限定スキンはちょうど良いスポットにあり、特定のタイプのプレイヤーにぴったりな、価値ある持続的な褒賞の例だと考えています。ランク戦の褒賞については、2024年にさらに詳しくお伝えするつもりです。

古参、または「当時プレイしていた」

LoLの古参プレイヤーであることを自慢する手段の大多数は、特定の瞬間にしか手に入らない報酬にあります。限定アイテムを見逃したい人などおらず、物議をかもす部分ではありますが、「黒毛アリスター」といったアイテムが特別である理由は、現在だとショップで購入できないからです。「黒毛アリスター」を持っているということは、このアイテムのリリース時にゲームをプレイしていたことの証明になります。

このモチベーションについては、素直に受け入れづらい部分があります。ランク戦シーズンを除くと、LoLにおいて記憶に残るような特別な瞬間は多くないため、期間限定の報酬だと“何かを記念したものだ”と感じづらくなってしまうのです(もし過去に戻れるのなら、「黒毛アリスター」はLoLのデジタルコレクターズエディション限定だともっと明確にするでしょう)。また、「勝利の栄光」スキンはランク戦で条件を満たしたプレイヤー限定なので、ランク戦と縁のないプレイヤーには、LoLコミュニティーの古参であることを自慢できる良い方法が特にありません。このモチベーションにうまく報いるような近日中のアップデートは予定していませんが、以下の分野で現在検討を重ねています。

メインのチャンピオン

特定のチャンピオンを何度も何度も使用したプレイヤーの献身は認められるべきです。現在のチャンピオンマスタリーシステムがうまく機能していなことは、私たちも認識しており、2024年にアップグレードの方針を模索する予定です。

高価アイテム

(これは新たなネットミームになることでしょう。著作権は私たちのものです!)LoLの有料アイテムは基本的に低価格に設定されており、この方針は今後も変わりません。ですが、ミシック ヴァリアントは突如として登場し、その目的についての説明をしておりませんでした。

ここで改めてお伝えすると、私たちはLoLへの時間的投資にもっと応えることで、金銭的投資で得られる内容の独自性を減らしました。例を挙げると、オリジナルのプレステージ K/DA カイ=サやアカリのスキンは、解除するのに非常に多くの時間またはお金が必要でした。ですが、現在のプレステージスキンは、基本的に通常イベントの“ゴールライン”という位置づけです。プレステージスキンを入手しやすくしたことで、このタイプのスキンを使う人は以前よりも多くなっています。

それにより、“高価アイテムで特別な体験をしたいプレイヤー”に向けたカタログに穴が開いてしまったのです。その穴埋めとして登場したのが、「暗黒の宇宙 抹消者ジン」や「ブレイクアウト True Damage エコー」のようなミシック ヴァリアントです。

とはいえ、200ドルのスキンが20ドルのスキンよりも10倍素晴らしいものになるかというと、そんなことはありません…ゲームプレイの明瞭性を破壊することなく、レジェンダリーの機能を10倍に増やすことは不可能だからです。ただ、このハードルを落とすつもりはなく、そういった点で「暗黒の宇宙 抹消者ジン」が不十分だったことは認識しています。私たちはスキンを大きく改変するよりも、少しだけ改変した方が、購入できないプレイヤーが不満に思わないだろうと考えたのですが、その考えは見事に失敗でした。この結果を元に、私たちは開発途中の「ブレイクアウト True Damage エコー」をレベルアップさせることにしました。

ミシック ヴァリアントのような高価アイテムを望んでいるプレイヤーに満足してもらえるよう、こうしたコンテンツの改良は今後も行っていきます。その一環として、しっかりとしたクオリティー基準を設け、こうしたスキンの年間リリース数を正しく設定していきます。大多数のプレイヤーがスキン1つに使える額を増やせない(または増やしたくない)ということは、私たちも理解しています。高価アイテムの数を抑えているのは、低価格帯コンテンツの開発に時間を費やした方が、より多くのプレイヤーにとって合理的だからです。私たちはハイエンドのコンテンツだけでなく、すべての価格帯でプレイヤーが欲しくなるような、任意のカスタマイズアイテムを用意したいと考えています。高価なアイテムを用意しつつも、その他のコンテンツはもっと手頃な価格で、あるいは無料で提供していくつもりです。

まとめると…

  • 最高のゲームを作ることが最重要事項である
  • LoLでの勝利に必要なのは、課金ではなく優れたプレイである
  • プレイヤーが満足できる有料コンテンツを提供する
  • 各プレイヤーの需要を反映したコンテンツを用意する

今後も進化や改善を続けながら、新機能や変更が上記の方針とどうマッチしているのか、説明を行っていくつもりです。このテーマについて皆さんと対話を続けていくことを楽しみにしています。

LoLをプレイしてくださり、記事を読んでくださり、そして私たちが今後も改善を行っていくと信頼してくださり、ありがとうございます。 

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