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/Dev TFT:ルーンテラ リフォージから学んだ教訓

「ルーンテラ リフォージ」から学んだ教訓と、新セット以降での教訓の活かし方についてお話しします!

Dev作者Riot_Mort
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「ルーンテラ リフォージ」も残り1ヶ月。そこで本記事では、今回のセットで改善を約束していた点と新セットで改善を目指す点を見ていきます。また、最高レベルを10に引き上げる変更など、次のセットに関する新情報もいくつか紹介していきますので、温かい飲み物でも用意してごゆっくりとお楽しみください!

なお、今回も例によって大変込み入った話が続くので要約版を用意しています:

振り返り:前回の教訓記事で設定した目標の直接的な達成度の振り返りです。


  • あれから4年:前回の教訓記事ではTFTのコアシステムの現状とその成長を振り返り、アイテムのリワークを示唆しました。
  • 後衛強襲能力 - ハッカー&アサシン:前セットのハッカーやアサシンと比べ、今セットのローグは後衛強襲の難易度が高く設定されていましたが、開発チームでは次セットで「後衛を強襲できる特性が一切存在しないセット」を試したいと考えています。
  • 脅威 - 超柔軟なチャンピオンたち:「モンスターアタック!」の脅威ユニットは構成を問わず組み込める柔軟さが評価されてセット屈指の成功要因となっていました。一方の「ルーンテラ リフォージ」ではハイマーディンガー、ベル=ヴェス、そしてライズなどが超柔軟に運用できるユニットとして活躍しました。こうした経緯を踏まえ、今後はティア5以外でも柔軟なユニットを出していけないか模索していきます。
  • オーグメント - 特性+1:今セットの特性+1系オーグメントは、大規模特性(ノクサス、アイオニアなど)を除外したことでプリズムオーグメントとしての強さをかなり高い状態に設定でき、結果的に前セットよりもかなり良好な状態となりました。ただしセット10では、魂/クラウン/心のオーグメントが一切登場しません。これは「特性カウントを増加させる」という要素が次のセット固有要素でも使われており、ゲームデザイン要素として重複してしまうためです。
  • オーグメント - コンテンツの刷新:「ルーンテラ リフォージ」で実施したオーグメント刷新は大成功でした。この規模の変更を毎セット実施することはできませんが、今後も新セットのタイミングで一定数の新オーグメントを追加し、オーグメントシステムの改善に一層力を注いでいきます。オーグメントが試合のワクワク感や楽しさに与える影響は承知していますから。
  • ヒーローオーグメント:「モンスターアタック!」のセット固有要素だったヒーローオーグメントからはゲームデザイン面で実に多くの教訓を得ることができました。ここで得た教訓は現在も今後もオーグメントに活かしていきます。ヒーローオーグメントの数は現在も良い状態だと考えていますが、今後はもっと増やしていくことになるでしょう。とはいえ、当然ながら「モンスターアタック!」の時ほど大量にはなりません。


今後の取り組み:次のセットで改善を目指す目標項目です。

  • レジェンド:「レジェンド」は実験的な試みで、試合開始前の時点でプレイヤーに自分の流儀/プレイスタイルを選んでもらえることを目指しました。しかし、コンセプトに大きな可能性があることは間違いないものの、本当に目指していた姿を実現するにはレジェンドよりも優れたシステムが必要であることもまた確かです。このため次のセットにはレジェンドを登場させないこととしました。
  • 地域ポータル:地域ポータルは大成功でした。試合ごとに変化が生じる点がプレイヤーの皆さんにも好評で、加えて開幕ドラフトラウンドが抱えていたTFTの各種問題まで解決してくれました。
  • 強さのインフレ:地域ポータル、オーグメント、プレイヤースキルの相乗効果により★3ティア4(あるいは★3ティア5)の完成難易度が大きく低下し、今セットのチーム戦力平均値は過去セットの一般的な水準を大きく超えました。これを解消するため、次セットではレベル上限を10に引き上げ、高コストユニットを安定入手するにはこれまで以上にXPへの先行投資が必要になるようにします!
  • スキンと分かりやすさ:今セットでは、チャンピオンのビジュアルにベーススキンを採用したため、新ユニットの記憶/理解がかつてないほど容易になりました。また、開発チームもルーンテラの物語に取り組むことを大いに楽しむことができました。というわけで、今後はルーンテラを舞台とするセット/ゲームプレイをさらに増やしながら、「ゲームプレイの分かりやすさ」に一層注力していきます。
  • 刺激的で個性的な低コストユニット:「ルーンテラ リフォージ」は、TFT史上でも類を見ないほど低コストユニットのワクワク感が高いセットとなりました。開発チームが膨大な時間をかけて低コストユニットの面白さを考え続け、各自が持つイメージを強く描き出す構成を練り続けた結果としての成功だったので、これは今後のセットでも可能な限り継続していきたいと考えています。
  • セットの複雑さとゲームバランス:「ルーンテラ リフォージ」は歴代屈指の複雑さを持つセットでした。開発チームも今回を「TFTというゲームが持ちうる複雑さの上限に近い」状態だったと考えています。そして、この複雑さ(とその関連要因)が原因で、望ましくないバランス状態のパッチが何度か発生しました。次のセットの複雑さは今回とほぼ同等となる見込みです。つまり、開発チームが複雑さに見合う高精度のゲームバランス調整を遂行できるかどうかがカギとなるでしょう。

振り返り

まずは前回の教訓記事を振り返り、評価してみます。

あれから4年:

前回の教訓記事では、TFTのコアシステム(アイテム、チャンピオン、特性)の現状とその成長を振り返り、さらなる改善が必要な要素(アイテム)のリワークを示唆しました。示唆のみでアイテムだとは明言しませんでしたが(最後のミッドセット向けにサプライズを残しておきたかったのです)。

こうして実施されたアイテムのリワークは、ルールシステムの明確化、各アイテムカテゴリーのバランス調整手法の改善、圧倒的に不人気なアイテムの総合的な減少に寄与してくれました。もちろんまだ完璧な状態ではありません。たとえば、ステージ2でネガトロンクロークとスパーリング グローブを所持している時に、「早くクイックシルバーを作ろう!」と思う人はいないでしょう。しかし総合的には良好な状態にあり、「ホライズン バウンド」に合わせたオーバーホールでここまでできたことを誇らしく思います。

前回の教訓記事では、アイテムシステムのリワークのように目立つ部分以外に、QoL(利便性)向上施策も継続的に実装していくとお伝えしていました。こちらの点も成功だったと考えています。具体的には、チャンピオン情報パネル、PvEラウンドのアイテム出現仕様、各金床タイプの活用強化などがこれにあたります。

というわけで、「ルーンテラ リフォージ」で導入した利便性向上機能については大変満足しているため、2023年末~2024年も引き続き新機能に取り組んでいきます。

後衛強襲能力 - ハッカー&アサシン:

この項目は、先ほどまでの祝勝ムードとはいきません。「ルーンテラ リフォージ」では、後衛強襲能力の新案としてローグを導入しましたが、この特性のバランス状態は極めて極端なものとなりました。

まずセット前半はほとんどプレイされず、弱い状態でした。ローグユニット自体が敵後衛を脅かすほどの戦力を発揮しておらず、チーム構成に4体を組み込む価値がなかったのです。ローグ(2)でカタリナなどのタゲ外しに使うことはあっても、ローグ(4)はそもそも問題外でした。しかしセット後半になると、今度は「実用的」の域を超えて過去の後衛強襲系特性と同じようなフラストレーションを生み出すことになりました。ダッシュが戦闘中に発生するため密集配置や位置取りの工夫では実質的な対処ができず、十分な火力が出ているローグとの戦闘では自チームが一方的に壊滅するのを見守るしかなかったのです。

こうした経緯を踏まえ、次のセットでは後衛強襲能力を持つ特性を一切登場させません。とはいえ後衛を強襲するスキルなどの別の手段は登場します。次のセットでは「敵後衛に飛び込むことを存在意義とする特性」が登場しない、と言い換えてもよいでしょう。開発チームはひとまず、次の1セットのあいだ実務でのバランス調整から離れ、後衛強襲というコンセプトを改めて模索・検討していきます。いずれ復活するとは思いますが、それにはまず極端なフラストレーションの原因にならない仕様を特定する必要があるでしょう。

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脅威 - 超柔軟なチャンピオンたち:

「ルーンテラ リフォージ」にも超柔軟なチャンピオンは複数体いましたが、そのあり方は「モンスターアタック!」の柔軟性特化型特性「脅威」とは異なりました。そんな中で、ハイマーディンガーはおそらく「脅威」ユニットに一番近い存在だったと言えるでしょう。チームの不足要素をアップグレード(回復効果低下、分解/裁断付与、ゴールド入手)で適宜補完できるため幅広いチーム構成に組み込まれて活躍していました。しかし、ハイマーディンガーはまさにその「何でもできてしまう」点が問題になりました。極めて強力かつ柔軟なユニットというのは、およそどんなチーム構成でも起用するのが得という状況を生み出してしまったのです。

その点、ハイマーディンガーほどではないにせよベル=ヴェスもまたかなり柔軟なユニットでした。ラピッド ファイアキャノンが余っていたり、スコープ装着(オーグメント)を取っていたりする場合は、とにかくベル=ヴェスを入れておけば安定・持続的なダメージ源として活躍してくれました。

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以上を踏まえ、今後はティア5以外の柔軟なユニットも模索していきたいと考えています。たとえば「モンスターアタック!」のモルガナなどは成功例のひとつだったので、今後もああしたユニットの案を試していきたいと思います。ラムスはもう許可しませんけどね!こうしたユニットはおそらく次のセットに即登場とはいきませんが、今後も継続的に可能性の一つとして検討していきます。

Riot Prism(編集)注:ラムスは物理攻撃を重く見る盤面で柔軟に起用できる名ユニットでした。実際、私にとっては「モンスターアタック!」屈指のお気に入りユニットでしたし、ここで名前をきちんと挙げないなんて…やっぱりおかしいですよね。

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オーグメント - 特性+1:

「モンスターアタック!」における特性+1オーグメントは、試合後半でようやく発動できるようになるはずの特性上位ティアの到達タイミングを早め、結果的に大幅な戦力アップを引き起こす事態を頻発させていました。具体的には、レーザーコープ、ガジェッティーン、スターガーディアン、リフトウォーカーなどです。今セットの特性+1系オーグメントは、大規模特性(ノクサス、アイオニアなど)を除外したことでプリズムオーグメントとしての強さをかなり高い状態に設定でき、結果的に前セットよりもかなり良好な状態となりました。中には「ソーサラーの心」のようにブレ幅の大きいオーグメントもありましたが、総合的には大幅な改善であったと評価できるでしょう。

しかし、実はセット10では、魂/クラウン/心オーグメントが一切登場しません。これは「特性カウントを増加させる」という要素が次のセット固有要素でも使われており、ゲームデザイン要素として重複してしまうためです。もちろんそれ以後のセットではこれまでの教訓をしっかりと活かしていきます。これからもオーグメントを追加し続けていく際には、どこかで出現頻度を低下させる必要も出てくるでしょう。そうしなければ特性+1系オーグメントをレアでワクワクするものとして維持できません。出現頻度が高すぎれば、そのぶん強さも抑える必要が出てきますし、そうなれば楽しさも減ってしまいますから。

オーグメント - コンテンツの刷新:

「モンスターアタック!」のオーグメントをゲームデザインする際には、時間の多くをメインのセット固有要素だったヒーローオーグメントに注ぎました。同じ基本オーグメントが続けて使われることになったのはそういう理由からだったのですが、これはさすがに流用コンテンツが少し多すぎました。この時点では3セット連続で使われていたオーグメントも多数あり、実際に私自身もたびたび登場する「天の祝福」を見ては辟易していました。

その後、私たちは「ルーンテラ リフォージ」でオーグメントを刷新しました。これはセットのプレイ感覚を新鮮で、楽しく、新しいものにした点で大成功であったと考えています。もちろん新しいオーグメントが一つ残らず完璧だったと主張するつもりはありません。しかし、プレイしがいのある新オーグメントの大量追加が、プレイ感覚の新鮮さとセットの新規性を大きく向上してくれたのは間違いないでしょう。この規模の変更を毎セット実施することはできませんが、今後も新セットのタイミングで一定数の新オーグメントを追加し、オーグメントシステムの改善に一層力を注いでいきます。オーグメントが試合のワクワク感や楽しさに与える影響は十分に把握していますから。なおオーグメントの効果については、今後も様々な方向性を模索していきたいと考えているので、どうぞお楽しみに。

ヒーローオーグメント:

「モンスターアタック!」の主なセット固有要素だったヒーローオーグメントからは、セットを通じて実に多くの教訓を得られました。私たちはこの時の教訓を活かし、「ルーンテラ リフォージ」でもいくつかのヒーローオーグメントを製作しました。ワーウィック、セト、スウェインなど、通常時はタンク役のチャンピオンたちを個性的なキャリーに変化させるのは非常に楽しい体験になったと思います。こうしたオーグメントたちは、適正なバランス状態ではチーム構成の多様性を広げるユニークなプレイスタイルを生み出してくれました。

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この種のオーグメントは今後も──大量追加はしませんが──増加させる可能性が高いと考えています。なお「ティア2のタンク系チャンピオン」は、今後もヒーローオーグメントに適したカテゴリーであり続けるでしょう。派手さのないティア2ユニットがヒーローになるというインパクトは鮮烈ですから。一方で今後は他の領域でもヒーローオーグメントの活用法を模索していきたいと考えています。

今後の取り組み

レジェンド:

これは注目に値する挑戦だったと思います。「レジェンド」はプレイヤーが試合開始前に自分の流儀/プレイスタイルを選び、試合展開に多少干渉できる要素です。特にプレイ歴の短いプレイヤーや低ランク帯のプレイヤーは試合前におおまかな戦略を立てておくことができたため、より気軽にゲームをプレイできるようになったのではないでしょうか。そんなレジェンドの中でも、特に試合の変化幅を抑制できていたのがツイステッド・フェイトで、彼は特に低ランク帯で絶大な人気を博しました。これは「馴染みのないアイテムを作る状況」というリスクを下げ、人気のあるコミュニティーガイドに沿ったプレイを可能にしていたためです。

一方、高ランク帯では「戦略の最適化」という側面がかなり重視されました。これは情報自体が不正確な場合であっても同様で、たとえば「オーンが生み出す有利が他よりも1%高い」という考えが広まると、突如として8人中5~7人がオーンを使い出す、という状況が生じていました。これは結果的に最も熱心なプレイヤー層の試合で展開の幅を狭めることになってしまいました。500試合以上を戦う彼らが楽しみ続けるためにこそ、試合展開の幅は必要だったのですが。

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私たちは今でも「試合開始前にプレイスタイルを選択する」要素には可能性があると考えていますが、今回のシステムではそのポテンシャルを十分に発揮できませんでした。このため、レジェンドは次のセットには登場しません。、ただし将来的にレジェンドの大幅改善案が見つかった場合には、後のセットで再登場することもありえます。

地域ポータル:

「ルーンテラ リフォージ」の主要セット固有要素だった地域ポータルは、TFTというゲームが抱えていた多数の課題を解決してくれました。開幕ドラフトラウンドはユニークな交流の場となり(1人投票のポータルが選ばれた時のあの空気!)、反射速度競争の要素も削除できました。また、試合ごとの変化幅もぐっと広がりました。たとえば、「スカトルパドル」と「エーレンマウント」の試合ではプレイ感覚が大きく異なります。これは大変素晴らしいことでした。

しかしそんな地域ポータルにも失敗が2点ありました。1つ目はレジェンドとの相性問題で、特定の組み合わせを引いたプレイヤーが試合開始直後から有利を得る状況が発生していたことです。たとえばエズリアルのプレイヤーがグラスクインダストリーを引けた場合、入手した素材アイテムでゴールドを稼いで利子額の有利を作れます。私たちは通常、即座にここまでの有利を作れる状況を是としません。2つ目は、もっとゲームプレイを複雑にする一部ポータルに関するものです。ライトシールド邸、最下層、ノクスクラヤなどの地域ポータルは、プレイヤーが求めるゲーム体験ではなかったのです。多くの人が選ぶのは「基本から外れない範囲のちょっとしたボーナス」であり、ゲームルールを根本から覆すような、戦略やゲームについてゼロから考える必要が出てくるような要素は好まれませんでした。これは私たちがギャラクシーから得た教訓とも一致しています。

本項の最後は地域ポータルがもたらした大きな成功について改めて記し、結びとしたいと思います。地域ポータルはプレイヤーから大いに愛された要素でした。今後TFTのベストヒット要素について語る時にも、その名は必ず挙がることになるでしょう。

強さのインフレ:

TFTが現在取り組んでいる課題にはユニークなものも存在します。そのひとつが、平均プレイヤースキルの上昇、ポータルやオーグメントによるリソースの増加、そしてゲーム全体の進行ペースが組み合わさったことで、これまでは比較的レアだった★3ティア4/ティア5ユニットを見かける頻度が望ましくないレベルまで上昇してしまったというものです。圧倒的に上達したプレイヤーは、いつ狙えるのか、どう狙えば良いかが見えているのです。次のセットでは、この課題に対処するべくいくつかの変更を加えます。またそれ以降も皆さんの上達速度に置いていかれないように対処し続けていきます。TFTの最高峰プレイヤーたちが本作を文字通りの意味で「研究」してくれていることは開発チームにとってこの上ない喜びです。私たちはこれからもプロとして、そのたゆまぬ努力と熱意に見合うゲームを作り続けていきたいと思います。

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なお、次のセットでは各チャンピオンの総数、出現率、レベルアップに必要なXPなどが変更される予定です。加えて──予想外かもしれませんが──レベル上限が恒久的に10に引き上げられます。★3ティア5を本気で狙うならば、今後はまずレベル10に到達する必要があるでしょう。

また将来的には、レベル10移行後の世界における「狙うべき次のドリーム要素」も模索していくつもりです。今はまだぼんやりとしたイメージですが、TFTもまもなく5年目に突入するからには、皆さんがもっと試したくなる、狙いたくなる新しい何かを作り出す必要があります。しかし本当に皆さん、TFTうますぎです!

スキンと分かりやすさ:

チャンピオンたちを再び基本スキンで登場させられたことは、「ルーンテラ リフォージ」屈指の成功ポイントでした。セット1以来の再登場だったので、開発チームでも反響に期待していたのですが…嬉しいことに反響は予想以上でした。チャンピオンが判別しやすいということは、TFTをまたやってみようかなと思った「リーグ・オブ・レジェンド」プレイヤーにとって「過去最高に復帰しやすい」セットだった、ということでもありました。

もちろん、それなら毎回基本スキンで!というワケにはいきません。個性的なスキンを望む声もありますし、そうしたスキンテーマが折り重なって面白いセットテーマは生み出されるのですから。ひとつ言えるのは、次回のルーンテラテーマのセットが出るまでに再び8セットも待つことはないだろう、ということです。開発チームにはルーンテラの物語マニアが揃っており、スキあらばルーンテラに舞い戻って大好きな友/ライバル/怒りっぽい海賊の恋人たちと戯れたいと考えていますから。おまけにルーンテラはアイデアの宝庫で、プレイヤー視点での分かりやすさも抜群というメリットもあります。というわけで、今後はルーンテラを舞台とするセット/ゲームプレイがもっと登場するでしょう。すぐ次のセット、というわけではありませんが、次回は8セットも待つ必要はありません。

刺激的で個性的な低コストユニット:

チョ=ガスとケイルはTFT史上でもトップクラスのワクワク感を持つティア1ユニットでした。バランス調整が極めて難しいユニットでしたが(スキルセットが複雑なのです)、両者はそれぞれの黄金時代も謳歌しました。大好きなティア1ユニットを求めてリロールを重ねた経験はおそらく誰にでもあるのではないでしょうか。実はこれこそが過去のセットとは大きく違う点です。従来であれば、複雑な要素は高コストユニットに割り振られていましたが、「ルーンテラ リフォージ」では面白さと独自性を兼ね備えたティア1ユニットで「直接的に」チーム構成の奥深さと楽しさ(ゲームって楽しいものですからね!)を生み出すことができたのです。

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しかも今回はこうしたティア1ユニットだけでなく、チーム構成の主役となれるティア2ユニットも出すことができました。ザ・ボス(セト)、貪欲なハンター(ワーウィック)などのヒーローオーグメント系キャリーたち、ユニークな固有スキルを活かしたノックアップ特化のダブルトラブルタリヤ構成、ナフィーリとエイトロックスのダーキンコンボなどです。

開発チームが膨大な時間をかけて低コストユニットのおもしろさを考え続け、各自が持つイメージを強く描き出す構成を練り続けた結果としての成功だったので、これは今後のセットでも継続していきたいと考えています。もちろんすべてのティア1ユニットをグレイブスやサミーラのようなリロールキャリーとして設計したり、★4ポッピーのような活躍の道を用意したりすることはできません。それでも今後は、一部の低コストユニットに個性的な活躍の道を用意していきます。

セットの複雑さとゲームバランス:

変化し続ける競技性PvPゲームにおいて、バランス問題を避けて通ることはできません。「ルーンテラ リフォージ」もまたTFTに新しい複雑さと大量の変更をもたらし、特にゲームバランスを不安定なものとしました。本件についてライブバランスチームに代わってお伝えすれば、私たちも解決すべき課題があることは承知しています。ここではまず、バランス問題を引き起こした要因について見てみましょう。


  1. セットの複雑さ:TFTのバランス問題にとって最大の原因は、もしかするとこの「セットの複雑さ」なのかもしれません。一部の地域ポータルとオーグメント、そしてチャンピオン/特性の組み合わせは、稀にゲームバランスの想定をはるかに超える強さを発揮することがありました。
  2. レジェンド:上の項でも触れましたが、特定オーグメントが必ず取得できる状態を成立させるには、オーグメントのバランス状態を完璧に近い状態にしておく必要があります。しかし地域ポータルの多様性などもあり、セット中には一部のオーグメントが著しく強くなる状況が生じていました。さらに開発チームは、各レジェンドが常に一定の有用性を持つ状態を目指していたため、特定のレジェンドに過剰なバフを実施することが何度かありました(たとえばドレイヴン。他にはバードの三日天下もありましたね)。そしてレジェンドのオーグメントは毎試合確定で獲得できるため、そこに強すぎるオーグメントが入っていると、バランス問題は一層悪化しました。
  3. 成長痛:TFTの開発チームは大きくなりましたが、人のトレーニングは一朝一夕には終わりません。そして大規模なチームでは組織化やタスク管理/分配のニーズも大きくなります。こうしたことを、私たちは開発と並行で推進・習熟する必要がありました。

私たちは現状を「TFTというゲームが持ちうる複雑さの上限に近い」状態だと認識していますが、次のセットでもそれを下げる予定はありません。これはつまり、今の水準が私たちの目指している複雑さである、ということです。ここが複雑さの上限ならば、あとは私たちがその複雑さを制御できるまでバランス調整の腕を上げるだけです。

今回の教訓記事は以上です。コンバージェンスの嵐の中で共にルーンテラを探索した日々、一緒に上位入賞した忘れがたき試合たち、史上最大の食いしん坊ティア1ユニットに給餌した思い出、そして開発チームにフィードバックを送ってくれた厚意、そのすべてに改めて感謝します。今回の記事も皆さんから寄せられたフィードバックに応える手段ですが、何よりも重要なのは、こうして得た教訓を今後のセットに活かしていくことです。

そして今後のセットといえば…実は近々(本当に近々です)TFT史上最大のセット発表を予定しています!11月5日のRuneterra Reforged Championship Finalsの放送中に発表するので、今から予定を空けておいてくださいね。それでは、また次回お会いしましょう!



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