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Quick Gameplay Thoughts:パッチ13.10

パッチ13.10でリリースされたミッドシーズンアップデートの開発エピソードについて、Riot Phreak、Riot Truexy、Riot Bokurpがお話しします。

Dev作者Riot Phreak, Riot Truexy, Riot Bokurp, Riot scaz
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久しぶりのQuick Gameplay Thoughtsへようこそ!少しお休みしていましたが、ミッドシーズンアップデートの実装も終わりましたので、ゲームプレイについての「そんなに手短でない」お話を再開したいと思います。

本題に入る前に、メイジのミッドレーンやトップレーンの現在の体験が良好でないというフィードバックに、私たちも同意していると言わせてください。ですが、チャンピオンのバフや新アイテム導入だけでは十分だと思っていません。ミッドシーズンでは解決不可能なマップそのものの問題と、多くの問題が結びついていると私たちは考えています(メイジとトップレーナーがギャンクされやす過ぎる問題に対しては、一部マップの再デザインを含む、さまざまな対処が必要です)。

13.10では、この点に対処するため、一部のメイジとファイターのアイテム構成をバフし、一部のメイジアイテムのカウンターもナーフ、テレポートにも小さなバフを施しました。このゲームモードでできることはまだまだたくさんありますし、長期と短期の両方の視点で、今回改善を行った部分について検討を続けていきます。

今年のミッドシーズンでは、いくつかのアイテムシステムとゲームメカニクス(ミニオンのルールやプラントなど)の改善、さらにプレシーズンに備えたミシックアイテムの試験的な変更(こちらの記事を参照)をしたいと思いました。今回のQGTでは、パッチ13.10で実装したコンテンツの一部について、開発エピソードを少しお話しできればと思います。

クリティカルアイテムの変更

Riot PhreakRiot Truexyが担当

クリティカルアイテムの変更は「インフィニティ エッジ、ナヴォリ クイックブレード、グインソー レイジブレードがミシックアイテムだったら?」という仮定から検討が始まりました。つまりそれは、ミシックアイテムの以前の方向性(ミシックは最初に購入すべきアイテムで、できる限り平等にする)から離れて、「ミシックは所持アイテムの中で最大の影響力がある」という新しい方向性に移るということです。メインチャンピオンとミシックが分かちがたい結びつきを持っていてたとしても、です。

そこからは、新ミシックと元ミシックが取るべき姿を探る作業が始まりました。追加の電撃にすべてのエネルギー充填効果が適用され、ミシック自動効果でそのダメージも上がるミシックとしての「スタティック シヴ」も試作してみましたが、このように厳密なシナジーのあるミシックを作るのはやめることにしました。「ゲイルフォース」の発動効果を維持するには、ミシックに残すしかありませんでした。

元ミシックをレジェンダリーに降格させる作業としては、ステータスの内容を単純に減らし(汎用性をなくさなければいけないので)、ゴールド効率を他のレジェンダリーアイテムと揃えました。「ヌーンクィヴァー」は、クリティカルチャンピオンがビルドをスムーズに進めるための最初の購入アイテム候補、序盤のステップ的なエピックアイテムとして残すことにしました。

他のレジェンダリーアイテムの変更は、使用率の低いアイテムに小さなバフを、使用率の高すぎるアイテムにナーフを行いつつ、直接の比較検討をうながせるように、それぞれの価格を近づけるのが目標でした。同様の調節ロジックは、素材アイテムが罠にならないよう、エピックアイテムにも適用しています。

13.10の初期データにはいくつかの外れ値が見られていますので、13.11で調整を行います。アイテム欄を占める各アイテムが最良のものになるよう、システムの調整を続けますし、ロール間の強さの変化についても、監視を続けていきます。

アサシン向けアイテムの変更

Riot Truexyが担当

12.10の耐久力アップデート以来、アサシンたちは苦しい立場に置かれていました。クラスそのものが弱くなっていたのですが、シーズン10以来私たちの歩みが遅くなってしまっていたのと同様の問題にぶつかっていました…そうです、ミシックアイテムです。アサシン向けミシックは、最もワクワクする独自の効果を持つものでもありましたが、ゲームの健全さを最も危うくするものも含まれていました。このため、アサシン向けアイテムは、他クラス向けアイテムよりも勝率を低く保たれていました。クラス全体がバフの候補になるたび、強くするとゲーム全体にとって危険になるだろうアイテム(ダスクブレードとプローラー クロウ)やアサシンチャンピオンたちが、バフの対象から外れました。素敵なバフに思えても、一度実装してしまえば、その多くをすぐに取り消すことになると分かっていたので。

フラストレーションがある効果(ダッシュや繰り返せるステルス)を持つアサシン向けミシックを下方調整することにしたので、アサシンプレイヤーが求めている強さに取り組むことができるようになりました。これによって各アサシンのニーズを広げる余地が生まれ、完璧な一撃必殺というテーマにふさわしいアイテムを選ぶことができるようになります。

シーズン10当時、「妖夢の霊剣」をアサシン向けミシックにしたかったのですが、発動効果が汎用的すぎて、「試合ごとの多様な決断」というシステム全体の元々の目標に合わないと考えたため、ミシック化は保留されました。その制限をゆるめて、アサシンプレイヤーが長らく最優先でビルドに取り入れてきたアイテムを復活させたいと思いました。マップを駆け抜けて一直線にバーストダメージを浴びせるためだけのアイテムとして、この霊剣は打ち直されています。

「ドラクサー・ダスクブレード」は、他の標準的なアサシン向けミシックと形を変え、体力が減った敵を探し出してキルし、速やかに離脱するためのアイテムとなりました。敵にとって分かりやすかったステルスは削除され、対象指定不可のより納得できる(でも少し弱い)バージョンになりました。ダスクブレードの「ステルスを4回リセットする」テーマを弱めたことで、苦戦しているアサシンたちを助けるための強化が見込めます。

「赤月の刃」は、戦果を求めるファイターのDPSパターンと脅威バーストの間を良い意味でつなげているので、変更しませんでした。全体として、「ロームしてバーストダメージを与える」、「低体力の敵を捕まえる」、「繰り返しダメージを与える」の3つが新しい構造になったことで、アサシンクラス全体が真の夢を達成する力を…いえ、面倒なマークスマンを始末する力を得られていればと思います。

サポート向けアイテムの変更

Riot BokurpRiot scazが担当

サポート向けアイテムの検討は「試合の流れを通して、サポートのアイテム選択を増やせるか?」という挑戦から始まりました。なぜなら、通常のサポートは使えるゴールドが少なく、他のロールと比べて多くのアイテムをビルドに取り入れられないからです。また、サポートのビルドに選ばれるアイテムには、満足感が低かったり、効果的でなくとも重要だったりするものがありました。そこで私たちはサポート向けアイテムのエコシステム全体を見直し、ミッドシーズンに間に合う改善としてできることを検討したいと思いました。

ここでの全体的な戦略はこうです:

  • 完成アイテムの価格を下げて、平均的な試合でサポートがもっと多くのアイテムを買えるようにする
  • サポートの選択肢として、一部のアイテム(アビサル マスク、レディアント ヴァーチュ)を取り入れる機会を検討する
  • 大きく有利を取り、アイテム欄がいっぱいになった試合で、終盤にゴールドを注ぎ込める最高位のアイテムを作る(ビジラント ワードストーン)
  • 新しい素材アイテム(祝福の聖杯、生命泉のペンダント)を追加し、一部アイテムのレシピを調整することで、ビルドの組み立てを整理する
  • 可能であれば自動効果を強化して、もっと分かりやすく、ニーズを満たせるようにする(アーデント センサー、フロー ウォーター スタッフ)
  • 大きな満足感を得られる機会をシステムに設ける

私たちがエンチャンター向けミシックシステムに目を向けたのは、最後のポイントのおかげです。「シュレリアの戦歌」はほとんどのサポートエンチャンターが標準採用する、満足感の高いミシックで、さまざまな用途で使われていました。「帝国の指令」はナミやアッシュ以外で購入されることはまれで、「ムーンストーンの再生」は強力で賢く使えば満足感が高かったのですが、戦闘の進行に応じて使うのは難しいアイテムでした。

エンチャンター向けミシックの全体的なフレームワークとして、防御的なものをひとつ、補助的なものをひとつ、攻撃的なものをひとつ…としようとしたのですが、エンチャンタープレイヤーがもっと実体を感じられる効果も模索したいと思いました。

移動や回復、シールド付与でスタックを獲得できる、エンチャンター向けの「エネルギー充填」モデルを試作しました。100スタックが溜まると、次に行う回復やシールドは「最大出力」となり、味方の次の攻撃のダメージを大きく増加させる、もしくは、その戦闘中の以降の回復量が大きく増えます。最終的にこれらのモデルは実装水準を満たしませんでした。エネルギー充填の楽しいところは「自分が次に取る行動をパワーアップさせる」ところなのですが、回復やシールド付与は「味方をキルしようとする敵への対応」となるのが普通だからです。このような効果では、最高の瞬間を味わえる頻度が少なすぎて満足できませんし、効果を無駄にした時のがっかり感もありました。

数多くの検討を経た後、エンチャンター向けミシックのモデルは「回復やシールド付与の効果を変える」に落ち着くこととなりました。「ヘリアの残響」は回復やシールド付与を、回復とダメージに変えるので、小競り合いでの攻撃的な選択肢になります。移動速度を補助する「シュレリアの戦歌」の役割は変わりませんし、強力な発動効果もそのままです。「ムーンストーンの再生」は、回復やシールド付与の対象を連鎖して広げる、主に防御的な選択肢ですし、集団戦では特に強力な範囲効果となります。回復やシールド付与といった行動とアイテムを強く結びつけることで、より大きな効果を感じられればと願っています。

長期的には、これらの変更による満足感が行き過ぎでないかをしっかり監視して、必要があれば調整を行うつもりです。サポート向けアイテムのエコシステムには他の部分(サポートタンク向けアイテムなど)もあって、今回はそれらの満足感不足に対処することはできませんでしたが、いずれ手を入れられればと思っています。

試合序盤の変更

Riot Truexyが担当

LoLが進化するにしたがって、レーン戦は対面の敵を直接キルするというより、他レーンへロームするための有利を見出す時間になっていきました。敵レーナーとの技量差を披露するのが盛り上がるところのひとつではあるのですが、他のレーンに影響を与えるのが最善のプレイであるという認識も広まっています。同じく、ギャンクとロームでレーン戦が頻繁に中断されることで、「公平で名誉ある1対1」が行われる時間は短くなっています。

ミッドシーズンでは「レーン戦の重要性を増す」ことを目標に、以下の変更を行っています:

  • レーンでの対面を相手に、1対1や2対2で戦える時間を増やす
  • 試合が始まってすぐの他レーンやギャンクが、レーンでの成功に及ぼす影響を減らす
  • 序盤の負けの影響を小さくし、1回のダメージ交換の失敗でレーン戦が終わらないようにする

今後のパッチで、(特にギャンクされた時)一度のプッシュで複数枚のタワープレートを獲得するのは難しく、複数のギャンク経路をカバーするためのワードは1本で済むように、タワーダイブされた時は少し持ちこたえやすくなります。

最大の変更は、ミニオンウェーブがレーンの真ん中でぶつかるタイミングが同時になる点です。以前は、サイドレーンのミニオンがぶつかる前に、ミッドレーンのミニオンがぶつかってしまっていました。このタイミングの不合致によって、各レーンでは素早くウェーブを処理して、ギャンクのための視界を置く時間が持てていました。敵レーナーが欲張ってファームをしたり、ダイブに弱い状態である場合、プレイヤーはロームを終えることになるでしょう。その後、自分のレーンに戻れなければ、ミニオンからの経験値やゴールドをほとんど失うことになります。ミニオンウェーブのタイミングを合わせることで、ロームの機会コストを重くしました。なので慎重なレーナーには、プッシュやファームのリスクを取る時に、少し余裕が生まれるはずです。

長期的には、これらの変更が全ての技量レベルに及ぼす影響を監視して、調整を行っていきます。ロームからのゲームメイクを削除したいわけではありません。それはLoLが楽しい理由として不可欠ですし、「弱いけれど成長の余地が大きいチャンピオン」を選ぶのにリスクがある理由なのですから。これらの変更で、レーン戦とロームのバランスを取っていければと思っていますので、レーンでのアウトプレイが増えるとともに、「ジャングル差/ミッド差/サポートのローム差」をつけられることは少し少なくなるでしょう。

今週の「そんなに手短でない」お話は以上です。今回もお読みいただきありがとうございます。それでは、サモナーズリフトでお会いしましょう!



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